東京11R 第130回天皇賞 芝2000m
◎ダンスインザムード 13人気 2着
○シルクフェイマス
▲テレグノシス
△ゼンノロブロイ、ツルマルボーイ
大本命馬キングカメハメハの故障 → 引退がすべての始まりだった。
突如として核が抜けた古馬中距離路線。「我にもチャンスあり」と参戦予定のなかった牝馬2頭までが出走してきた。ダンスインザムードは秋華賞から中1週、アドマイヤグルーヴはこの後 中1週でエリザベス女王杯へ。競馬界は「名馬ブチ壊しキャンペーン」でも開催する気なのだろうか。彼女たちには無理だけはして欲しくないんだが。
さて、悪天候もそうだが、鞍乗が動きまくってるのがこのレースの特徴。
キングカメハメハの故障でアンカツが宙に浮いた。アンカツに本当に乗って欲しかったのは安田記念を勝ったツルマルボーイ。しかし、アンカツは「空かぬもの」だと決めこんでいたために、蛯名正義に早めに確保。ここで横山典弘に頼めれば良かったのだが、ノリは春の時点でローエングリン*1 に乗ることになっていた。「ノリは本当はどっちに乗りたかったのかなぁ」とか考え出すと複雑。不調期の蛯名だけにマイナス材料。
面白いのは武豊の動向。これに影響された馬が多いこと多いこと。昨年の有馬記念からずっと乗っているリンカーン騎乗でほぼ内定していたのだが、アンカツが宙に浮いたことを知るや否やアンカツに騎乗依頼。武豊は急遽参戦表明した同馬主のアドマイヤグルーヴに乗る羽目に。これもあの強引なオーナー*2 だからこそできる芸当。「武豊は本当はどっちに乗りたかったのかなぁ」とか考え出すと複雑。
そして、武豊を奪われた藤沢厩舎は外国人ジョッキーを使ってきた。
ゼンノロブロイからは、老兵岡部幸雄を降ろして、フランスの至宝オリビエ・ペリエへ、ダンスインザムードはルメールに騎乗依頼。体の空いた岡部幸雄は、北村の変わりにシェルゲームに騎乗。うん、藤沢厩舎も大変だ。
もう一丁、武豊を奪われたサクラプレジデントは松永幹夫に騎乗依頼。
名騎手というのは身体がいくつあっても足りないものである。そして、最後に笑うのは近藤利一なのだ。「鞍乗確保の観点」から見ればの話だけどね。
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本命 ダンスインザムード (54kg ルメール)
桜花賞の時の馬体重が464kg(+2kg)で圧勝、オークスが478kg(+14kg)で直線失速、秋華賞が474kg(-4kg)で直線失速。陣営はオークスの敗戦を左回りに見出そうとしていたようだが、明らかに身体が太かった。もちろん、そんな状態でも「勝てる」と踏んでいたのだろうが、この馬には兄や姉にはない致命的な弱点があった。
それは、天性のスピードがありすぎること。
魔の桜花賞ペースと言われる阪神マイルのハイペースを楽に追走して突き放せるだけの能力を与えられながら、「スローペースでよーい、ドン!」になった時に道中で折り合いを欠いてしまうという諸刃の剣。これをファインモーション症候群と名付けよう。オークス、秋華賞の敗因はずばりそれだと思う。
今回は古馬の中でもトップクラスの逃げを打つローエングリンが出てきた。
良馬場の場合、ローエングリンの逃げのラップは、前半1000mで58秒〜59秒程度。スローペースが何よりも苦手な馬にとって、これ以上のペースメーカーはいない。シルクフェイマス、ゼンノロブロイと有力馬を見ながら競馬できるのも好材料。同世代の牝馬限定戦で敗れての中1週挑戦ということで、人気の盲点にもなっている。前日オッズでは単勝12番人気。ゼンノロブロイ以外との馬連は全通り万馬券だ。だいたい1年以上も勝ちから遠ざかっているゼンノロブロイが、鞍乗をペリエにしただけで、抜けた単勝一番人気になってしまうことが異常なわけで。
降りしきる雨も何のその、道悪馬場はフラワーカップで克服済み。
もともと日本ダービーでキングカメハメハに挑戦させるプランもあった馬。「ニ頭出しは人気薄」とはよく言ったものだ。渾身の本命印である。
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対抗 シルクフェイマス (58kg 四位洋文)
宝塚記念では「タップダンスシチーを負かしにいっての2着」という非常に強い競馬だった。あのレースでは2着までと3着以下に大きな差がある。疲れが抜けるのに少し時間がかかったため、ぶっつけ本番となったが、同じぶっつけで臨むリンカーンに負けることはまずありえない。問題は、一度使っているゼンノロブロイの上積みが、宝塚記念時の0.2秒差を埋められるかどうか。向こうは前走で負けているのに人気を背負ったのに対し、シルクフェイマスは穴人気にとどまっている。美味しいのはこっちだろう。
単穴 テレグノシス (58kg 勝浦正樹)
距離は2000mまでなら持つと思う。日本ダービーの敗戦は体調面に問題があった*3 だけ。毎日王冠のように上手く仕掛ければ、まとめて差し切るだけの力はある。東京コースは[5302]という驚異の実績だ。問題は馬場状態。少し時計のかかる稍重が理想的。それ以上になるとまったくだめ。しかし、この雨は強くこそなれど止む気配はない。東京競馬場は台風中止の翌日にすぐに稍重まで回復するほどの水はけの良さなのだが・・・・さて、どうなることやら。文字通り「運を天に任せる」ことになりそうだ。
連下 ゼンノロブロイ (58kg ペリエ)
もしキングカメハメハが無事なら、この馬を2着付けで三連単勝負するつもりだった。残念ながら大本命は脱落したが、だからと言って単勝一番人気はどうなのか。東京コースにも芝2000mにも重馬場にも実績はある。しかし、取りこぼせないはずのGⅡでウインジェネラーレやナリタセンチュリーに負けたというのもまた事実。藤沢和雄とオリビエ・ペリエに敬意を払って一応押さえるが、この人気に見合うだけの馬だとは到底思えない。
連下 ツルマルボーイ (58kg 蛯名正義)
昨年の2着馬も、馬場悪化と鞍乗が不安。アンカツか横山典弘が乗ってくれるなら、本命まで考えていたのに。まあ、休み明けはとにかく走る*4 し、東京コースは[2101]だ。押さえておいて損はないと思う。特に強調したい材料はないのだが。
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馬券は縦目も押さえつつ、こんな感じで。
馬連 4-2,5,12,13,[縦目] 12-2,5 計6点 1000円ずつ
三連複 BOX 2,4,5,12,13 計10点 400円ずつ
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