中山9R 第49回有馬記念 芝2500m
◎シルクフェイマス*1 9人気 3着
○ゼンノロブロイ
▲コイントス
△タップダンスシチー
師走の中山に集いし戦士たちは15頭。
ファンの夢を乗せて、己の限界に挑むんだ!
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レース展開
逃げ馬として実績を残しているのは、タップダンスシチーとコスモバルク。
しかし、コスモバルクはオーナー側から「ゼンノロブロイ、徹底マーク」を厳命されている。これをブラフととるかどうかで展開が大きく変わってきそうだが、ジャパンカップで無理して抑えたことを考えれば、本気の発言なのかもしれない。
ゼンノロブロイよりも後ろでレースをするなら、ジ・エンド。
オーナーの真意が「2番手で控えろ」程度のものならば、バルクは善戦可能である。コーナーを6回も曲がる中山芝2500mの特殊コースは、「先行有利」が大鉄則。自分の競馬に徹して、素直に逃げればいいと思うのだが・・・。どうなることやら。
一方のタップダンスシチー、調教を見ても体調面は7分がいいところ。
目標にされるのは辛いので、本音は「逃げたくない」ではなかろうか。最初は前に馬を置き、第3コーナーから仕掛けていく。スローペースでよ〜いドン!では、サンデーサイレンス産駒には敵わない。スローで先頭に立つことは、すなわち、自らの負けを意味することになる。多少強引にでもペースを上げるだろう。*2
4コーナー先頭。直線は埒を頼って走る馬なので、これは好走の必須条件。
問題は海外遠征帰りで7分がやっとの体調で、そういった芸当ができるかどうか。
行くのはグレイトジャーニー、ピサノクウカイのどちらかか。
3頭出しの藤沢和雄厩舎だが、休養明け2戦とも出遅れてるコイントスを行かせようとは考えていないはず。ペースメーカーにするなら、2番枠をゲットしたピサノクウカイだろう。藤田伸二に天皇賞・秋でのシェルゲーム、ジャパンカップでのマグナーテンのような競馬をさせ、ゼンノロブロイのもっとも得意なペースを作り出す。そんな名将の思惑を根底から覆す馬、それがタップダンスシチーであり、暴走したコスモバルクである。
よどみないペース、ハイペース。
スローで切れる馬よりも、長くいい脚を使える持久力のある馬を狙うべし。
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馬場状態
今週は芝刈りを実施しておりません。
開催日の草丈は野芝 約 4〜6cm、洋芝 約10〜14cmの予定です。
2週連続で芝刈りを実施せずに伸ばしまくった洋芝の影響について。
もともと時計が出やすい馬場だったが、その傾向に拍車がかかった。土曜メインのクリスマスS(芝1600m・準オープン)が1分32秒台で決着、2歳戦だったクリスマスローズS(芝1200m・500万下)でさえ、1分7秒台が出ている。
持ち時計のない馬は、大幅にマイナスしてもよい。
また、4コーナーで先行集団にいない(まくりができない)馬も勝負にならない。*3
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馬場適性
中山で好走する条件、それは「小回りをこなせる器用な馬」であること。
東京や阪神でどれだけ強い勝ち方をしたところで、中山で通用するとは限らない。一番人気のゼンノロブロイは、芝の重賞レースでは、有馬記念 3着、日経賞 2着という成績が残っている。4戦3勝の東京コースよりは、信頼性で一枚落ちる。同様に、タップダンスシチー、ヒシミラクル、ハイアーゲームらもマイナスポイント。
一方で、先行できて器用な馬には、この条件はプラスに働くことが多い。
シルクフェイマス、ダイタクバートラム、コスモバルク、ピサノクウカイ、コイントス、グレイトジャーニーらが該当。該当馬は2割増で評価するべし。
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ローテーション
有馬記念で大切なのは、「どれだけ余力が残っているか」ということだ。
最近でこそ、ジャパンカップが主要ステップレースの一つになっているが、かつては天皇賞・秋と菊花賞ばかりであった。天皇賞やジャパンカップで激走してきた馬よりも、有馬記念を目標にしてきた馬のほうが有利なことは一目瞭然。それにしては、シルクフェイマスの人気がなさすぎる。日経新春杯 1着、京都記念 1着、春の天皇賞 3着、宝塚記念 2着。鉄砲実績も申し分ない。一体どこに不満があるというのか。
ゼンノロブロイのトリプルクラウンについて。
僕の予想は、「トリプルクラウンボーナスはない」というのが大前提になっている。木曜日に世代間比較のテキストを書いたが、どう贔屓目に見ても、シンボリクリスエスやスペシャルウィークでも達成できなかったことを成し遂げられるだけの馬とは思えない。
藤沢和雄調教師にとって、もっとも欲しかったタイトルはジャパンカップ。
シンボリクリスエスを持ってしても2年連続で獲れなかった念願のタイトルを手にした現在、有馬記念は本当にオマケにすぎないと思う。
馬なり調整が続くのも、そのためなんじゃないか。*4
コスモバルクの過酷ロードについて。
ジャパンカップでは、「完全にバテた」と思わせておいて、ゴール前で差し返す根性を見せた。後続に並ばれても、ただでは抜かせない。ハイペースで飛ばしても、最後は二枚腰を使う。東京から中山に移るのは、明らかにプラス材料。
でも、やっぱりジャパンカップは余計だったと思う。
有馬記念の結果を左右するのは、あくまでも「余力」なのだ。ジャパンカップのあの差し返しで、もはやそれを使ってしまったような印象を受ける。菊花賞(天皇賞)、ジャパンカップを使って、有馬記念でも好走した3歳馬なんて、数えるほどしかいない。それこそ、シンボリクリスエス、シンボリルドルフ、オグリキャップ レベルだけだ。*5 昨年のザッツザプレンティにしてもそう、古くはファビラスラフインとか。あのスペシャルウィーク、エルコンドルパサーでさえも、3歳時はジャパンカップの後は休養に当てたほどである。
「菊花賞馬が強い」というのも、鵜呑みにするようなデータじゃない。
あれは「菊花賞後の照準を有馬記念一本に絞ってきた」場合のみに当てはまること。ナリタブライアンも、マヤノトップガンも、マンハッタンカフェも、すべてそうだ。間にジャパンカップを挟んで好走した馬なんて、上で挙げたレベルのスーパーホースだけである。
デルタブルースはもうお釣りがない。今回はスルーしてよい。
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以上より、消去法で行けば、4頭しか残らないではないか。
ここでは減点材料が一つもないシルクフェイマスを本命にしたが、宝塚記念で目一杯に仕上げた馬体(-12kg)が戻りきらぬまま、秋の天皇賞に使った(さらに-4kg)ため、馬体回復が必須条件。その辺はパドックで見極めたい。
本命が飛んでもいいように、馬券はボックス買いをオススメする。
馬連・三連複 BOX 1,6,9,14 計10点 1500円ずつ